備前焼は、岡山県の備前エリア(備前市周辺)で作られている焼き物です。
松の割木を10~14昼夜焚き続け、およそ摂氏1200度で焼き締めます。この時の炎や灰のあたり方によって生じる様々な模様や色合いが特徴です。この世に2つと同じものがない偶発的なおもしろさと、釉薬(ゆうやく)を使用しない素朴な自然美が魅力です。
花入れは花が長持ちする、酒器は酒がうまくなる、などと言われ、日常生活の様々なシーンでご利用いただけます。
ゴマをふりかけたような模様で、黄、金、黒、青など様々な色があります。作品にふりかかった割木の灰が、高温で溶けて灰釉になったものです。 灰が多くかかり高温で流れるようになると、玉だれ、流れ胡麻と呼ばれるものになります。
灰色系統の複雑な焼き色です。作品の一部が灰や炭に埋もれると、その部分は黒く、炎にあたる部分は赤くなり、境界が灰青色の桟ぎりになります。窯の各部屋を仕切る桟の近くでよくとれたので桟ぎりと呼ばれるようになりました。
うす茶色の素地に緋色の線が「たすき」のようにかかった模様です。備前焼の中でもっとも華やかな焼き色ですから、特に若い方には一番人気の焼き色です。緋だすきは、作品にワラを巻いて焼くことで、ワラの部分が炎の色をまとう美しい焼き色です。
主に皿や鉢などの平らな作品に、ぼた餅を載せたような丸い柄ができたものです。作品の上に、ぐい呑みなどの小さな作品を置いて焼き、その部分が丸く炎の陰になることで模様ができます。
銀色、朱色、金色など様々な景色がみられる、備前焼の華といえる焼き色です。薪に埋もれるような特定のわずかな場所に作品を横倒しに窯詰めし、薪に触れる部分と触れない部分をつくることで様々な焼き色があらわれます。
酸化とは逆の還元(酸素を取り除く)作用の強い場所で焼かれた作品が青灰色または黒色になったものです。必ずとれる焼き色ではなく、古くから偶然できる場合が多かったので、大変珍重されてきた焼き色です。
備前焼は日本古来の六古窯の1つです。須恵器の流れを汲み進歩発達したもので、一千年の間、無彩焼締めの伝統を守り続けています。上薬を用いず、良質の陶土をじっくり焼き締めることによって、土と炎の織りなす景色が生まれます。その自然美は時代の風潮や流行を超越して、多くの人々に愛されてまいりました。